「甘酒やメープルシロップで甘みをつけていれば、『砂糖不使用』って言っていいの?」
「砂糖を使っていないから『シュガーフリー』っていても大丈夫?」
ネットやSNSを見ると
「書いてもOK」
「法律違反になるからダメ!」
と情報がバラバラで、どれが正解なのかモヤモヤしますよね。
「せっかく素材にこだわっているのに、ルール違反になるのは怖い…」と、アピールの仕方に迷ってしまうお教室の先生も多いはず。
実は私も過去に同じように悩み、行政の食品表示窓口に直接問い合わせてみました。
その結果分かったのは、「商品のパッケージ(シール)」と「教室のチラシやSNS」では、適用される法律のルールが違うという事実です。
というわけで、この記事では、行政から得た確かな情報をもとに、教室の先生が自信を持って魅力を伝えられる正しい表現のコツについて解説します。
「砂糖不使用」と書けるかは「どこに書くか」で変わります
ネット上で「甘酒を使ったら砂糖不使用って書けない!」という情報と、「書いても問題ない」という情報が入り乱れているのには理由があります。
その理由とは、どこにその言葉を書くかによって、適用される法律のルールが違うからです。
商品のパッケージ(容器や包装の裏に貼るシールなど)には、国が定める「食品表示法」という厳しいルールが適用されます。
※もちろん景品表示法も適用されます。
このルールに照らし合わせると、確かに甘酒やメープルシロップを使ったお菓子に「砂糖不使用」と書くことはできません。
一方で、お教室のチラシやPOP、SNSでの告知は商品のパッケージではないため、先ほどの食品表示法は適用外になります。
こちらは主に、消費者(生徒さん等)を騙すことを防ぐ「景品表示法」という法律が適用されるんです。
つまり、本当に白砂糖を使っていなければ、チラシやSNSに「砂糖不使用」と書いても、しっかりと事実を添えていれば法律違反にはならないのです。
ゆいのんパッケージと広告(チラシ・SNS)の違いを知らないままネットの噂を信じてしまうと、お教室の魅力を伝えきれなくなってしまいます。
商品のパッケージ・シールに書く場合のルール【食品表示法】


まずは、マルシェでの販売や通販を行う際に一番気になる「商品のパッケージ(シール)」のルールについて3つ紹介します。
「砂糖不使用」と表示するための4つの条件
商品のパッケージに「砂糖不使用」と書くためには、食品表示基準というルールが定める4つの厳しい条件をすべてクリアする必要があります。
- いかなる糖類も添加されていないこと(ショ糖、ぶどう糖、ハチミツなど)
- 糖類に代わる原材料や添加物を使用していないこと(ジャムや果汁など)
- 酵素分解などで、製品の糖類が元の材料より増えていないこと
- 単位当たりの糖類の含有量を表示していること
出典:東京都保健医療局「栄養強調表示」より引用・要約
一言でいえば、甘みをつけるための糖分や、その代わりになるものを、作る過程で一切加えていないことが絶対条件になります。



「白砂糖を使っていなければOK!」という単純なお話ではないのが、この法律の厄介なところなんです。
甘酒やメープルシロップを使うとNGになる理由
では、なぜ白砂糖の代わりに甘酒やメープルシロップを使ったお菓子に「砂糖不使用」と書いてはいけないのでしょうか?
結論から言うと、甘酒やメープルシロップの中に「糖類(ブドウ糖や果糖)」が含まれているからです。
- メープルシロップ・ハチミツ
天然のブドウ糖や果糖(=糖類)が含まれています。 - 甘酒
お米のデンプンが発酵・分解されてブドウ糖(=糖類)に変わっています。
法律のルールでは、「いかなる糖類も加えてはいけない」「糖類の代わりになる材料も使ってはいけない」とされています。
そのため、たとえ精製された白砂糖でなくても、糖類を含むメープルシロップなどを「甘みづけ」として加えた時点でアウトになってしまうのです。



「砂糖じゃないのに砂糖不使用と書けない」というのは不思議な感覚ですが、これがパッケージ表示の厳しいルールなんですね。
よく似ている「無糖」「ノンシュガー」との違い
「砂糖不使用」とよく似た言葉に「無糖」や「ノンシュガー」がありますが、実はこれも法律上の定義が違います。
- 砂糖不使用
作る過程で、糖類(砂糖やハチミツなど)を加えていないこと。 - 無糖・ノンシュガー
出来上がった製品100gあたりの糖類が0.5g未満であること。
つまり、無糖は出来上がったお菓子に含まれる糖分の「量」の基準です。
例えば、砂糖を全く加えていなくても、果物本来の糖分が多く含まれていて100g中0.5gを超えてしまえば、「無糖」や「ノンシュガー」とは名乗れません。
逆に、ラカントなどの人工甘味料・代替甘味料を使っていて糖類が0.5g未満に収まっていれば、「無糖」と書くことは可能になります。
SNSやチラシに書く場合のルール【景品表示法】


ここからは、「じゃあ、教室のチラシやインスタグラムにはどう書けばいいの?」という疑問について解説します。
パッケージのルールはSNSには適用されません
お教室のチラシ、POP、SNS、ブログでの発信には、先ほどの厳しい「食品表示法」のルールは適用されません。
食品表示法は、あくまでスーパーなどで売られている「容器包装された加工食品(パッケージのシールなど)」を守るための法律なんです。
代わりに、チラシやSNSなどの発信に適用されるのが「景品表示法」という法律です。



この法律は、誤解を招く表示から消費者を守るためのものです。
白砂糖を使っていなければ「砂糖不使用」と書ける?
景品表示法のルールでは、「◯◯を使ってはいけない」といった特定の言葉(文言)についての明確な禁止ルールはありません。
そのため、本当に白砂糖を使っていなければ、チラシやSNSに「砂糖不使用」と書くこと自体は可能です。
つまり、「甘酒にはブドウ糖が含まれているから…」といった食品表示法の細かい栄養学的な基準を、SNSやチラシにそのまま持ち込む必要はないということです。
「白砂糖を使わず、体に優しい素材を使っている」という事実があるなら、その素敵なこだわりは堂々とアピールして大丈夫ですよ。



私が行政の窓口に確認した際にも、「景品表示法に文言の規制はないため、全ての表現について根拠を持っておいてください」との回答をいただきました。
生徒さんを誤解させない「正しい書き方」のコツ
ただし、「砂糖不使用」と書く上で絶対に守らなければならない注意点が1つだけあります。
それは、お客さんを勘違いさせないこと(優良誤認を防ぐこと)です。
優良誤認(ゆうりょうごにん)とは、景品表示法で禁止されている行為のひとつで、商品やサービスが実際よりも「すごく良いものだ!」と消費者を勘違いさせてしまうような表示のことです。
もし「砂糖不使用!」とだけ書いてあった場合、生徒さんは「これは甘み(糖分)が全く入っていないんだな」と勘違いしてしまいますよね。
しかし、後から「実はメープルシロップを使っていた」ということが分かるとトラブルになります。
これが景品表示法で禁止されている「優良誤認」にあたってしまいます。
行政からも、消費者を誤解させないように「打消し表示(例外や条件などの注釈書き)」を分かりやすく書くことが重要だと言われています。
打消し表示とは、「※甘みづけには甘酒を使用しています」のように、メインの言葉(砂糖不使用)に対する例外や条件を説明する補足書きのことです。
これを防ぐための、正しい書き方の具体例(OK例・NG例)をご紹介しますね。
- NGな書き方
「砂糖不使用のヘルシーマフィンです!」
(実は甘酒を使っていることを書いていない)
- OKな書き方
「白砂糖不使用のヘルシーマフィンです!」
(※甘みづけに甘酒を使用しています)
このように、「白砂糖を使っていないこと」と「代わりに何を使っているか」をセットで書くことがポイントです。
事実を隠さず正しく伝えることで、法律をしっかり守りながら、あなたのこだわりを生徒さんに100%届けることができます。
【Q&A】行政の窓口に直接聞いてみました!
「ネットの情報だけではまだ不安…」という方のために、この記事を書くにあたり、私自身が改めて県庁の食品表示管轄窓口(食品表示110番)に直接問い合わせてみました。
担当者さんからの回答内容をシェアします
「SNSのプロフィールやブログで、甘酒を使ったスイーツに『砂糖不使用』『砂糖ゼロ』と書いていいのか?」という私の質問に対し、行政からは以下のような回答(要約)をいただきました。
【食品表示法の適用範囲について】
SNSのプロフィールや告知などにも景品表示法は適用されます。
※商品のパッケージにも景品表示法は適用される場合があります。【表現のルールについて】
景品表示法に特定の「文言の規制」はありません。しかし、実際のものより著しく優良であると一般消費者が誤認する場合は「不当表示」となる可能性があります。【ただし、ここが重要!】
消費者が表示から期待するものと実際のものに乖離(ズレ)がある場合、不当表示となるおそれがあります。そのため、「打消し表示(注釈)」などに留意し、全ての表現について事実に基づいた根拠を持つことが大切です。
行政の担当者さんからの回答を踏まえると、「事実をセットで分かりやすく書くこと」が、トラブルを防ぐ一番のベストな方法だと言えます。
これでもう、迷う必要はありませんね。



行政から『書いてOK』というお墨付きがもらえるわけではなく、最終的には私たち教室側の責任において、生徒さんを勘違いさせない誠実な表示(注釈をつける等)をすることが求められるんです。
お教室の先生からよくある2つのご質問
最後に、お菓子・パン教室の先生方からよくご相談いただく疑問にお答えします。
迷ったときのお問い合わせ先
「自分のオリジナルレシピの場合はどうなるの?」
「この書き方で本当に大丈夫?」
と不安なときは、行政の窓口に直接確認してみるのが一番確実で安心です。
問合せる際は、国(消費者庁など)の大きな窓口にいきなり電話するよりも、お住まいの地域(都道府県や市区町村)の担当窓口に連絡するのが、最もスムーズで親切に対応してもらえます。
今回お伝えした通り、「どこに書く内容か」によって担当する行政の窓口が違うため、以下の連絡先を使い分けてみてくださいね。
- 商品のパッケージ(シール)の表記について
-
各都道府県の「食品表示に関する相談窓口」や、管轄の「保健所」
(都道府県名+「食品表示 相談窓口」で検索してみてください)
- チラシやSNSでの発信について
-
各都道府県の「景品表示法に関する相談窓口」や、お近くの「消費生活センター」
(都道府県名+「景品表示法 相談」などで検索すると窓口が出てきます)



一人でモヤモヤ悩んでしまったときは、プロに聞いてみるのが一番の近道ですよ。
まとめ|正しい知識で、自信を持って教室の魅力を伝えましょう!
この記事では、先生方が迷いがちな「砂糖不使用」の定義と、正しいアピールの方法についてお伝えしました。
さいごに、この記事のポイントをまとめます。
- 「商品のパッケージ」と「SNS・チラシ」では、適用される法律のルールが違う。
- 商品のパッケージ(シール)には、甘酒やメープルシロップを使った場合「砂糖不使用」とは書けない。
- SNSやチラシなら、白砂糖を使っていなければ「砂糖不使用」と書くこと自体は可能
- ただしSNS等では、生徒さんを誤解させないよう「※甘みには甘酒を使用」など事実をセット(打消し表示)にするのが最大のポイント
- ラカントなどの代替甘味料を使っている場合は、「白砂糖不使用」と書くのが無難でおすすめ。
「ルール違反になったらどうしよう…」とモヤモヤしたまま、お教室の魅力を隠してしまうのは、本当にもったいないことです。
今日からぜひ、SNSのプロフィールやレッスンの告知文を見直してみてください。
「白砂糖不使用(※甘みは自家製甘酒を使用しています)」と自信を持って書き直すだけで、あなたのこだわりに共感してくれる生徒さんが、きっと見つかりやすくなりますよ。



正しい知識は、あなたの教室と生徒さんを守るお守りになります。これからも自信を持って発信していきましょう!


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